かいづか国際交流協会2012年度定期総会

 

日時: 2012422()午後130分より開始、午後2時30分終了

場所: 貝塚市民福祉センター4階大会議室

総会は「総会」と「講演会」の二部に分かれて開催されました。

(総会)

会員50数人が参加しました。梶本順也さんの司会により始まり、高橋会長の挨拶に続いて、芦田前会長を議長に指名し、全員の賛同を得て、次の議案が審議されました。

 

第一号議案 2011年度 事業報告

第二号議案 2011年度 決算報告

第三号議案 2011年度 監査報告

第四号議案 2012年度 事業計画(案)

第五号議案 2012年度 予算(案)   

 

がすべて承認され成立しました。

休日にもかかわらず、公務に午前午後共ご多忙な藤原市長が合間をぬって出席され、挨拶をされました。市長は東日本大震災を被った福島県田村市を訪問されたときの体験をもとに、如何に日頃の人と人との付き合いが大切かを痛感されたそうです。互いの絆を大切にして各自日々交流活動に取り組んでいただきたいと話されました。

なお、来賓として元林都市政策部長にもご出席いただきました

 

 

(講演会)

 

スイス人ご夫妻 ハンティカ・パトリック さん 律子 さん (現在、羽曳野市在住)

に「スイスの暮らしについて」一時間にわたって言葉、生活、食べ物、医療制度、年金、介護、核シェルターなどを講演していただき、会員の皆さんからの質問にも答えていただきました。以下はその内容です。

(下の写真をクリックすると大きくなります)

スイスの概要

人口: 780万人

面積: 九州と同程度ですが、高低差が4441メートルもあります。

         アルプス山脈やジュラ山脈が国土の70%を占めます。

国語: ドイツ語(63%)、フランス語(20%)、イタリア語(6%)、ロマンシュ語(0.5%)

宗教: ローマカトリック41%、プロテスタント35%、その他

        

26の州から成り立っており、それぞれの州に独自の憲法や、議会、政府、裁判所があります。学校の休みも州によって違います。

 

スイス連邦が定める祭日は81日の建国記念日だけですが、他の祭日は各州で年8日まで自由に設定できます。どの州でもイースター、クリスマスは休みです。祭日は少ないですが、有給休暇は年4週間あり、有給消化をしなければいけない規定になっています。学校も春、夏、秋、冬、スポーツ休暇があり、休暇中は宿題も有りません。休暇はきっちり休むといった感じです。

公用語

ドイツ語(63%)、フランス語(20%)、イタリア語(6%)と少数派のロマンシュ語(0.5%、イタリア語に近い)の四つです。ドイツ語圏ではドイツ語とスイス・ジャーマンが使用され、筆記にはドイツ語、スイス・ジャーマンは会話に使われます。スイス・ジャーマンといってもドイツ語とはかなり異なった言語でドイツ人が聞いても理解しがたいようです。日本での標準語と沖縄方言との差ぐらいです。ドイツ語圏のスイス人はスイス・ジャーマンに誇りを持っており、あまりドイツ語は話したがりません。

(下の図はスイス国内の言語分布図です、クリックすると大きくなります。)

生活・習慣

スイス人は物を大切にします。常に節水、節電を心がけています。片づけ上手で部屋はきれいです。リビングルームには邪魔なものは置きませんし、あってもすぐ片付けます。入浴はせず毎日シャワーを浴びます。その時間も短いです。入浴は週一回程度です。洗濯は週1回曜日を決めてその日にだけ洗濯します。マンションには3-4世帯の共有の洗濯機があり互いに使う曜日を決めて使っています。普段から洗濯物が増えないように気を使います。湿気が少ないこともあり、週1回の洗濯でも匂いなどはあまり気になりません。

 

気候は春夏秋冬があり、夏は涼しく、各家にはクーラーはほとんどありません。家の壁が厚く、家の中がひんやりしています。暖房は地下に暖房室があり床や壁に温水を流して、家全体が温かいシステムになっています。

食べ物

チーズフォンデュなどが代表的な食べ物です。乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)やハム、ソーセージ、ジャガイモなどをよく食べます。

朝食は簡単でパンとコーヒーぐらいで日曜日はハムやチーズなどが付いてすこし豪華です。昼食がメインデッシュで暖かいものを食べます。家族そろって昼食をとります。勤務先が遠くない限り、昼休みには帰宅します。学校では給食はありませんし、スーパーやお店なども都会以外では12時から14時までは閉店し、みんな家に帰って家族と昼食を取ります。

夕食は朝食と同じような感じでパンとサラダ、スープ、チーズなどを食べます。

 

スイスではホームパーティーをよくします。前菜からデザートまですべて手作りで振舞います。子どもの誕生日には学校に手作りケーキを持って行き、職場でも自分の誕生日にはクロワッサンやケーキを持参して自分で誕生日を祝います。

 

スイス人は世界で一番たくさんチョコレートを食べます。年間平均消費量は12キロで、日本では2キロです。プレゼントにもよく使われます。 チョコレートに誇りをもっており、含まれるカカオ量のパーセントにはこだわっています。

医療・健康保険・介護

医療については「ホームドクター・システム」です。例えば、耳鼻科で診てもらいたいのなら、先ずホームドクターと相談し紹介状を持って耳鼻科へ行くということになり、手間も時間もかかります。しかしプライベートが守られ一対一で診てもらうことが出来ます。医療の質も高いです。

歯科には保険が適用されません。治療費も高額なので、子供の時から虫歯にならないよう気をつけます。

 

健康保険は民間の保険会社を選び加入します。保険加入は義務です。保険料は高く、月一人3万円くらいで掛け捨てです。年間自己負担額を3万円から25万円の間で自由に決め、免責額以上は10%が自己負担となります。免責額が高ければ高いほど、月の保険料は安くなります。

 

介護については、核家族化が進み、高齢者の多くは看護師や介護士が中心となって介護をしています。スイスでも入居費用の安い介護施設に入居できるまでには何年も待つことが多いです。介護費用は健康保険と介護保険によって一部支払われるがほとんどの場合、自己負担が生じ年金では自己負担分を支払えない場合が多くなっています。

年金

福祉制度は北欧ほど充実したものではありませんが、日本とほぼ同じようです。

企業年金・基礎年金と個人年金があります。基礎年金は収入の60%位になるように掛けて行きます。加入については働いている人は18才より、学生・無職の人は20才より全員掛ける義務があります。定年は男子65才、女子64才です。基礎年金で月額最高18万円位、最低9万円位です。最近は金利の低下などもあり年金だけでの生活は難しいようです。

兵役

男子が20才になると兵役の義務があります。初年兵役学校で4ケ月間の訓練を受けます。月曜から金曜まで学校で訓練を受け、週末は帰宅します。

その後、20才から50才までの間、2年に一回2週間の訓練に参加する義務があり、その間は会社を休みますが給料は保障されています。兵役以外にも射撃の訓練があり、自宅に武器を保管していますが、発砲事件は少ないです。そして一旦事があれば、30万から40万の兵士が徴集されます。

 

宗教上の理由などによって兵役に参加出来ない場合は、不参加が認められ、その代わりとして老人ホームの介護や病院のヘルパーとしての義務が同期間認められます。

核シェルター

各家庭の地下室に核シェルターがあります。壁の厚さは20センチぐらいあり、1ヶ月位の生活が出来るほどのスペースを確保しなければなりません。通常の家の核シェルター設置費用は100万円から200万円ぐらいです。

自宅に核シェルターがない場合は市役所にあるシェルターに入れますが、毎年負担金を支払います。マンションの地下にも核シェルターがあり、シャワー、トイレが設備されています。

 

スイスは永世中立国ではありますが、冷戦の時代よりシェルターが作られるようになりました。なお、原発の事故に備えてヨードなどの薬も用意され配布されています。スイスでは危機意識が非常に高いです。

 

 

以上

「定期総会」へ戻ります
「定期総会」へ戻ります